「投げる、打つ時のパワーがない感じがするんですけど、筋肉をつけていくトレーニングはまだ早いですよね?」
熊本DOTSに通う中学生の野球選手や保護者の方から、よくいただく質問です。
実は中学生のこの時期に、自重トレーニングからウエイトトレーニングへと段階的に取り入れることで、高校生以降のパフォーマンスに大きな差が生まれます。
これまでの記事では、野球選手に欠かせない『成長期の基礎知識(PHV)』と『栄養編』について解説してきました。
まだ読んでいない方は、ぜひこちらからチェックしてみてください!
👉 筋トレで身長は止まらない!熊本の野球トレーナーが教える成長期トレーニングとPHVの関係
👉 中3の今が分かれ道!高校野球に向けて必ず押さえるべき体づくりのポイント│食事編【熊本整体DOTS】
そして今回はその【筋力トレーニング実践編】。
「自重→ウエイト」への正しいステップアップを、理学療法士(医療国家資格)であり、高校野球チームやプロ選手を指導してきたトレーナーの立場から分かりやすく解説します。
1.なぜ中学生の今、筋力トレーニングが大切なのか?
中学生の時期は、体が大きく変化する「基礎づくりのゴールデンタイム」です。この時期に筋力トレーニングを正しく行うことで、筋肉を増やすだけでなく「体を思い通りに動かす力」=運動神経の土台が作られます。
成長期は、骨が先に伸びて筋肉や腱がそれに追いつかないため、体のバランスが崩れやすくなります。このタイミングでは、一時的に“動きがぎこちなくなる”現象がよく見られます。これをクラムジー(clumsy:不器用さ)と呼びます。
たとえば、「今までできていた動作がうまくいかない」「急にスピードやコントロールが落ちた」と感じる選手も、実はこのクラムジー期の真っただ中にいることが多いのです。
ここで重要なのが自重トレーニング。自分の体重をコントロールしながら行うことで
・投げる・打つ時に体幹がブレない
・股関節をしっかり使える
・力の伝わるフォームが身につく
といった「動きの基礎力」が高まります。たとえばスクワットやランジなどの基本動作を丁寧に行うだけでも、“軸が安定した動き”を体が覚えていきます。この安定性こそが、高校以降のパワーアップ・スピードアップの土台になるのです。
2.自重からウエイトトレーニングへ!「動作」と「筋力」をリンクさせる
PHV(成長のピーク)を過ぎ、体の成長が落ち着いてくると、少しずつウエイトトレーニングを取り入れていく段階になります。ただし、いきなり重りを持つのではなく、“自分の体を安定して動かせる状態”を作ってから進むことがとても大切です。筋力トレーニングの流れは、次のようにステップを踏むことが理想です。
自重トレーニングでフォームを安定させる
スクワット・プッシュアップなど、自分の体重をコントロールできるようにするのが第一歩。姿勢が崩れず、左右のバランスが取れているかを確認しましょう。この段階で軸をしっかり作ることで、ウエイトを扱うときのケガを防げます。
チューブや軽いダンベルで“負荷”を少しずつプラス
フォームが安定してきたら、チューブやメディシンボール、軽いダンベル(1〜3kg程度)などで負荷をプラス。スピードよりも「コントロール」を意識し、STEP1でできていた形が崩れないことが大切です。
ウエイトトレーニング(バーベルなど)で“力の方向”を学ぶ
チューブなど軽負荷でも安定して動けるようになれば、ウエイトトレーニングを取り入れていきましょう。重さを支え、動かし、コントロールする中で、特に野球では「どの方向に地面を押すか」がパフォーマンスに直結します。適切な方向にしっかり力を伝える感覚を、ウエイトトレーニングで育てていきましょう。
このように、自重 → 軽負荷 → ウエイトという手順を踏むことで、ケガを防ぎながら効率的にパフォーマンスを伸ばせます。
3.強くなる選手の共通点!“自分を追い込む力”をトレーニングで磨く
高校野球、そしてその先の社会人、プロの世界で戦う選手たちを見ていると、強い選手ほど「トレーニングの意味」をよく分かっています。筋肉をつけるためではなく、野球で結果を出すためにトレーニングをしている。当たり前のように聞こえますが、この意識の差が、本当に大きいと感じます。
トレーニングで追い込める選手は、野球の練習でも自分が習得したい技術を身につけるまで、納得がいくまで追い込めます。「あと1回」「あと1セット」を自分に課せる強さがある。それは根性論ではなく、自分の体を信じられる“土台の強さ”です。
逆に、体の準備ができていない選手は、どこかでブレーキがかかってしまう。「このぐらいでいい」「もうキツい」と思った瞬間に、練習の質が下がり、積み重ねが止まってしまうんです。
だからこそ、中学生のうちからトレーニングで“追い込める体”と“追い込めるマインド”を育てておくことが、高校野球への一番の準備になります。
4.野球に必要な“追い込める体”をつくる自重トレーニング2選(動画解説)
ここからは、実際に「自分の体を思い通りに動かす力」を鍛えるトレーニングを紹介します。どちらも特別な器具は不要で、自分の体重をコントロールしながら全身を使う“導入編”です。
プッシュアップ(腕立て伏せ)
プッシュアップは投手、野手ともに投げる時のリリース、打つ時のインパクトなど、押すという力を発揮する意味で、野球選手には欠かせないトレーニングになります。
前半の動画では、プッシュアップの2つのポイント、後半の動画では、簡単にする方法、より負荷を上げる方法について説明しています。形が崩れないやり方で、1セット10〜20回をまず2セットやりましょう!中学3年生以降で、筋肥大(筋肉を大きくする)のためには、オールアウトと言って、フォームが崩れるまでの回数でやると効果が高いです。
ワイドスクワットジャンプ
このトレーニングを行うことで足を速くするための腸腰筋や、ピッチングやバッティングの骨盤の回旋速度を上げるのに必要な内転筋を使うことができます。
ポイントは
・着地の時につま先と膝の向きを揃っている、膝が動かないこと
・着地の時に腰を丸めたり、からだを前に倒したりしないようにすること
このポイントがしっかりできていると、投げる、打つのパフォーマンスが格段に良くなります!着地の形がうまくできていれば、さらに高くジャンプするようにしましょう。1セット15〜20回を3セットやりましょう!
最後に:熊本DOTSの「朝トレ」!野球で結果を出すためのトレーニングを!
この記事では、理学療法士であり、高校野球チームやプロ選手を指導してきた筆者が、「自重→ウエイト」への正しいステップアップを解説しました。
中学生の今こそ、「正しい方法で継続的に体を鍛える」ことが何より大切です。自己流や勢い任せでは、効果が出ないどころかケガのリスクも高まります。ただし、成長スピードや柔軟性、筋力のバランスは人それぞれ。「次のステップに進んでいいのか?」は自己判断が難しい部分でもあります。
DOTSの「朝トレ」では、成長段階や体の使い方に合わせて、フォーム・負荷・ステップアップをサポートします。また、朝から体を動かす習慣は集中力やメンタルの安定にもつながります。もし「これまでしっかりトレーニングをやったことがない」「自己流で続かない」という方は、ぜひ一度DOTSの朝トレを体験してみてください。“追い込める体とマインド”を一緒に育てましょう!
















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